プロ野球のシーズン終盤になると、順位表に並ぶ「ゲーム差」という言葉に一喜一憂する人も多いのではないでしょうか。勝ってもなかなか縮まらない、逆に少しの連敗で大きく開く──そんなゲーム差の数字には、順位争いのドラマが凝縮されています。
しかし、具体的に「ゲーム差とは何か?」と聞かれると、曖昧なままにしているファンも少なくありません。とくに初心者にとっては、「0.5ゲーム差」や「引き分けが多い場合の影響」など、理解が難しい部分も多いものです。
この記事では、ゲーム差の定義や計算方法はもちろん、実際にどうやって順位に影響してくるのか、そして観戦をより楽しむための活用法までを丁寧に解説していきます。
このページでわかること
- プロ野球におけるゲーム差の基本的な意味
- ゲーム差の具体的な計算方法と根拠
- 勝率や引き分けがゲーム差に与える影響
- 終盤の順位争いやCS進出におけるゲーム差の重要性
プロ野球順位におけるゲーム差とは

プロ野球におけるゲーム差とは、上位チームと下位チームの順位の差を表現する指標です。首位チームとの差や、ひとつ上の順位のチームとの差を表すために使用されます。
ゲーム差は、直接対決で勝利すると1つ追いつくことが可能です。
ゲーム差の計算方法
プロ野球のゲーム差の計算方法は、次の通りです。
ゲーム差={(上位チームの貯金数)-(下位チームの貯金数)}÷2
ゲーム差は、2チームの貯金数(勝ち越し数)を用いて算出します。順位は勝率で決まりますので、いかに勝率を高くできるか(勝ち越し数が多いか)を比較するわけです。
勝率の計算方法は、次の通りです。
勝利数÷(勝利数+敗戦数)
ちなみに、計算式に引き分けは含まれません。

ゲーム差の具体例
2019年の西武とソフトバンクを例にとります。
チーム | 勝 | 負 | 分 | 勝率 | 差 |
---|---|---|---|---|---|
西武ライオンズ | 80 | 62 | 1 | 0.563 | |
ソフトバンク | 76 | 62 | 5 | 0.551 | 2 |
西武の貯金は80(勝利数)-62(敗戦数)で18、ソフトバンクの貯金は76(勝利数)-62(敗戦数)で14です。この時点でのゲーム差は、(18-14)÷2で2ゲーム差となるわけですね。
仮にこの後、もう1試合直接対決でソフトバンクが勝利したとするとどうなるでしょうか。
西武は貯金が一つ減って17になります。
ソフトバンクは貯金が一つ増えて15です。この場合のゲーム差は(17-15)÷2で1ゲーム差となります。直接対決で勝利したことで、ゲーム差が1縮まりましたね。なお、一方のチームが試合がない場合や引き分けとなった場合は、ゲーム差は0.5ずつ変動することになります。
マイナスゲーム
ゲーム差はあくまでも参考数値ですので、時に順位とゲーム差が逆転してしまう現象が発生します。これが、マイナスゲーム差と呼ばれ、引き分けや未消化の試合が多い場合に発生するケースです。
こちらも具体例を踏まえて考えてみましょう。極端な例で、以下のようなチームが存在します。
- 4勝1敗5分のAチーム
→勝率=4÷(4+1)=.800 - 7勝3敗のBチーム
→勝率=7÷(7+3)=.700
順位は勝率で上回るAチームが上位となります。一方で、貯金数はどうでしょうか。
Aチームの貯金=4-1=3
Bチームの貯金=7-3=4
貯金数では、勝率では下回るBチームの方が多いのですね。これをもとにゲーム差を算出してみましょう。
ゲーム差={3(Aの貯金)-4(Bの貯金)}÷2=-0.5
順位と貯金数の関係が逆転しているため、ゲーム差はマイナスで計算されるのです。
チーム | 勝 | 負 | 分 | 勝率 | 差 |
---|---|---|---|---|---|
A | 4 | 1 | 5 | 0.800 | |
B | 7 | 3 | 0 | 0.700 | 0.5 |
このように、引き分けや未消化の試合数が極端に多い場合には、マイナスゲーム差が現れます。
あくまでも順位は勝率に基づいて、ゲーム差は差を表す参考数値ということですね。
プロ野球の順位において勝率が同じ場合

セ・リーグ | パリーグ |
---|---|
巨人 | ソフトバンク |
中日 | 西武 |
ヤクルト | オリックス |
阪神 | 日本ハム |
広島 | 楽天 |
DeNA | ロッテ |
プロ野球には、セリーグとパリーグが存在していますが、勝率が同じ場合、つまりゲーム差が同じ場合の優勝の決め方が違います。
セ・リーグの場合
セ・リーグの場合、勝率が同じ場合勝利数が多い球団が上位になります。
- 勝利数が多い
- 対戦勝率が高い
- 前年度順位が高い
セ・リーグは上記の優先度で順位が決定します。

パ・リーグの場合
パ・リーグの場合、2つのチームの対戦勝率が高い方が上位になります。
- 対戦勝率が高い
- 交流戦を除いたリーグ戦の勝率が高い
- 前年度順が高い
パ・リーグは上記の優先度で順位が決定します。
プロ野球のゲーム差が順位やCS進出に与える影響
プロ野球のシーズン終盤、ゲーム差は優勝争いやクライマックスシリーズ(CS)進出の行方を左右する重要な指標となります。
単なる数字ではなく、順位をめぐる現実的な「距離感」を示すものであり、応援しているチームの未来を占う上で欠かせません。
終盤戦における逆転可能性の見極め方
ゲーム差は、シーズンのどの段階かによって意味合いが大きく変わります。特に終盤戦では、「残り試合数」とのバランスで逆転可能かどうかを冷静に判断することが求められます。
逆転が現実的かどうかを考えるには、以下のような視点が有効です。
- 残り試合数がゲーム差の2倍以上あるか
↳差を埋めるためには最低でもその分の勝敗が必要 - 直接対決が残っているかどうか
↳自力で差を詰められるチャンスの有無 - 相手チームの勝敗ペースや状態
↳他球団の失速も逆転には不可欠
例えばゲーム差が「3」の場合、3勝分の差を詰めるには理論上6試合以上が必要となります。ゲーム差と残り試合数のバランスを常に意識することが重要です。

残り試合数と勝敗パターンでのシミュレーション
終盤の展望を考える上で有効なのが、「逆転にはどれだけの勝敗が必要か」をシミュレートすることです。以下のような例を用いると、より具体的に理解できます。
ゲーム差 | 逆転に必要な勝敗差 | 理想的な残り試合数 |
---|---|---|
1.0 | +1勝 | 2試合以上 |
2.5 | +3勝 | 6試合以上 |
5.0 | +5勝 | 10試合以上 |
このようにシナリオを想定することで、「あと何勝で逆転可能か」「どれだけ負けられないか」が明確になり、観戦にも力が入るようになります。
プロ野球の順位決定方法まとめ
今回は、プロ野球の順位を決める、ゲーム差について紹介しました。
プロ野球のゲーム差の計算方法を知っておけば、順位を確認するときに、迷わず見ることができるでしょう。また、セリーグとパリーグでは、勝率が同じ場合、順位の決め方に違いがあります。
ぜひ、これからもプロ野球を応援して、盛り上げていきましょう。