プロ野球の試合中に突然「この試合は警告試合とする」と主審が宣言する場面を目にしたことはありませんか?
一見すると唐突で物々しい雰囲気を感じさせるこの宣言には、実は重要な意味が込められています。警告試合とは、フェアプレーを守るための制度であり、選手の安全と試合の秩序を守るための一手なのです。
この記事では、「警告試合」というルールがいつ、どのように適用されるのかを具体例とともに紹介しながら、選手や観客に与える影響、さらに観戦するファンがどのように受け止めればよいかをわかりやすく解説していきます。
このページでわかること
- プロ野球における警告試合の定義と目的
- 警告試合が宣言される主な場面と理由
- 警告試合が試合の流れや戦術に与える影響
- 実際に起きた過去の警告試合の事例
- ファンとして知っておくべき観戦マナーと心構え
プロ野球の警告試合の基礎知識

プロ野球における「警告試合」は、試合の安全性と秩序を保つために設けられた制度です。
プレー中に起きるトラブルを未然に防ぎ、公平な競技環境を守るために運用されています。特に死球の応酬や乱闘の兆しが見られる場面では、主審がこの制度を発動することで状況の悪化を食い止めます。
警告試合とは何か?その定義と目的
打者を狙って投球すること。このような反則行為が起きたと審判員が判断したときは、審判員は次のうちの何れかを選ぶことができる。
出典:公認野球規則8.02
- その投手またはその投手とそのチームの監督とを試合から除く。
- その投手と両チームの監督に再びこのような投球が行われたら、その投手(またはその投手の後に出場した投手)と監督を退場させる旨の警告を発する。
警告試合とは、野球の試合中に危険行為や報復行為が繰り返されることを受けて、主審が「この試合は警告試合とする」と公式に宣言する制度です。この宣言により、以降の試合では同様の行為が一切許されなくなり、違反があった場合には即座に退場などの厳しい処分が下される可能性があります。
この制度の目的は、選手の安全を守ること、そして試合の秩序を維持することにあります。特に、死球や危険球による報復行為が試合の流れを悪化させることを未然に防ぐために、大きな役割を果たしています。
どんなときに宣言されるのか?主な適用シーン
警告試合が宣言される状況には一定のパターンがあります。特に報復の意図が疑われるプレーや、試合の流れを乱すような緊張状態が続く場面では、審判が対応を迫られます。以下に主な適用シーンを表にまとめます。
シーン | 具体的な例 | 審判の対応 |
---|---|---|
死球の応酬 | 両チームの投手が相次いで打者に死球を与える | 試合を止めて警告試合を宣言 |
乱闘の兆候 | 選手間のにらみ合いや言い合いが激化 | 両軍ベンチに自制を促す意味で警告試合 |
過剰な抗議 | 監督・コーチによる執拗な抗議や暴言 | 秩序維持のために警告試合を適用 |
このように、警告試合は対立の激化やプレーの危険性が高まったときに発動される仕組みです。試合の空気を読み取り、未然に混乱を防ぐための判断が求められます。

審判の判断基準と宣言方法
警告試合を宣言する際、最終的な判断を下すのは主審です。判断には明確なマニュアルがあるわけではなく、その時の状況判断や流れを見極める経験が重要になります。あくまで試合の安全と秩序を最優先することが求められます。
宣言の方法としては、試合中に主審が試合を一時中断し、「この試合は警告試合とする」と明言します。この情報は即座に場内アナウンスにも反映され、観客にも共有されます。
この時点で、選手・監督・コーチといったチーム関係者全員が制度の対象となり、再発防止のための厳しい措置が取られることになります。主審の一声で大きく流れが変わることもある警告試合は、審判にとっても非常に重要な裁量のひとつです。
プロ野球の警告試合の事例

実際にプロ野球であった事例を紹介します!
2度の死球
2015年5月の西武VS阪神の交流戦です。マートン選手に対して2度、死球を与えてしまい、両軍睨み合いになりました。
この状況を受け、審判員は「警告試合」を宣告いたしました。
翌日の試合を警告試合
2005年5月15日の西武VS巨人の交流戦です。
前日、前々日と合計6個の死球を出している中で迎えたカード第三戦。
前日の試合の死球後に、険悪なムードを残して試合を終えたことも加味して審判団は15日の試合を「警告試合」と宣言した上でプレイしました。
日米大学野球の警告試合
2013年に開催された日米親善試合でも、警告試合が宣告された過去があります。
岡選手への死球がきっかけで、両軍の雰囲気が悪くなり、最終的にはホームランに対するガッツポーズが原因です。

プロ野球の警告試合が及ぼす影響

警告試合が宣言されると、試合展開にも選手にも観客にもさまざまな影響が生まれます。ここでは試合戦略への変化、選手や監督の処分リスク、そして応援するファンが受ける印象に分けて解説します。
警告試合後の試合展開や戦術への影響
宣言後は「危険球や報復を恐れた投手が慎重になる」「打者も積極的なアピールに躊躇する」といった影響が出ます。例えば、投手は打者への圧力をかけたい場面でも、死球などを避けてコーナーを狙いにくくなることがあります。
このような心理的拘束は、試合が緊迫しながらも冷静さを持って進むようになる傾向があります。
選手・監督への処分リスク
警告試合が宣言された後に同様の行為が行われると、審判団は即時退場を命じる可能性が高いです。また、試合後にはNPBからの追加処分(出場停止や罰金)につながるケースもあります。
審判とNPBは過去の行為履歴や場の状況を踏まえた判断を下し、関係者に対して適切な処分を行います。
こうして、関係者は試合後まで責任を問われる重みを感じることになり、制御効果が高まります。
【22年】警告試合とその後の対応
また、2022年に同じような2打席連続死球が起きました。そのときのBIGBOSSの対応が注目を集めました(警告試合は宣言されております)。
警告試合に関してよくある質問
まとめ|警告試合を正しく理解し、フェアな観戦を
この記事では、プロ野球における「警告試合」という制度について、ルールや背景、実際の運用例などを通じて詳しく解説しました。警告試合は試合の流れを断ち切るための強制的な手段ではなく、あくまで安全性と秩序を守るために設けられた制度であることがわかります。
実際に警告試合が宣言された際には、選手・監督・ファンのすべてがその意味を理解し、冷静に状況を見守る姿勢が求められます。試合に影響する要素でありながら、フェアプレーを促す抑止力としての役割も持っており、スポーツマンシップの大切さをあらためて感じさせられる瞬間でもあります。
観戦する側としては、過剰に不安になったり感情的になったりせず、「警告試合が出された背景には何があったのか?」を考える習慣を持つことが大切です。それによって、選手だけでなく審判の視点にも共感し、より深く野球という競技を理解できるようになります。