野球観戦をしていると「P/PA」という指標を目にすることがあります。しかし「これは何を表しているのか?」「どうやって計算するのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
P/PAとは「Pitch per Plate Appearance」の略で、1打席あたりに平均して何球投じられたかを表す指標です。打者の粘り強さや、投手の効率的な投球を測る重要なデータとして、プロ野球やMLBでも頻繁に活用されています。
この記事では、P/PAの意味や計算式、数値が高い・低い場合の解釈に加え、バッター・ピッチャー双方の視点からの活用方法までわかりやすく解説します。
このページでわかること
- P/PAの正式名称と基本的な意味
- 具体的な計算式とサンプル数値の出し方
- P/PAが高い・低い場合の選手の特徴や評価
- 打者・投手それぞれの視点からのP/PAの活用
- 観戦やセイバーメトリクス分析への応用方法
野球のP/PAとは

P/PAとは、1打席あたり相手投手に何球投げさせたかを表す指標です。つまり、P/PAが3であれば、その打者は1打席の勝負がつくまでに、平均3球を要していることを意味します。
P/PAが高い=良い打者か
実はそうとは言い切れません。良く言えば、粘り強く投手が嫌がるいやらしい打者です。しかし悪く言えば、それだけボールを捉えきれてないことを意味します。
ただ、個人的に打率の高さとp/paが両方とも高い数値にあれば、良い打者と定義しても良いと考えています。打率が高ければ、それだけ投手も慎重に勝負をします。一方で打率が低ければ投手もそこまで慎重になりません。
つまり、打率が高い打者であれば際どい勝負がゆえにP/PAが高くなっている可能性が高いです。

ヤクルトの場合
選手名 | P/PA | 打率 |
---|---|---|
村上宗隆 | 4.306 | .333 |
塩見泰隆 | 3.998 | .275 |
山田哲人 | 4.239 | .245 |
オスナ | 3.804 | .267 |
山崎晃太郎 | 4.376 | .253 |
2021年に日本一に輝いたヤクルト各選手の成績です。
やはり、村上選手は打率も高く、長打もあるバッターなのでP/PAが高くなっています。一方、その村上選手よりもP/PAが高いのが山崎選手です。
このように、P/PAだけではそのバッターが「球数を多く投げさせている」という情報しか推察できず、他の数字と掛け合わせることでそのバッター像を分析できます。
P/PAの計算方法

全投球数÷打席数=P/PA
以上の式になります。非常にシンプルですね。ここで注意すべきが「打席数」です。四死球等の打席が含まれない「打数」ではないので、注意しましょう。
P/PAの計算例
選手名 | 野球マニュアル |
被投球数 | 660 |
打席数 | 150 |
上記の場合、660÷150=4.4つまり、野球マニュアル選出のP/PAは4.4になります。
プロ野球P/PAランキング
選手名 | 球団 | P/PA | OPS |
---|---|---|---|
西川遥輝 | 楽天 | 4.475 | .691 |
中村奨吾 | ロッテ | 4.401 | .729 |
清宮幸太郎 | 日ハム | 4.387 | .723 |
阿部寿樹 | 中日 | 4.375 | .753 |
外崎修汰 | 西部 | 4.365 | .649 |
集計対象者は規定打席到達者です。また、本記事を最初に執筆した2022年のシーズン途中時点ランキングになるため、確定値とはランキングに変動が生じます。

P/PAを観戦やデータ分析へ応用してみよう
P/PAは単なる計算式にとどまらず、野球観戦の楽しみを広げたり、データ分析の切り口としても役立ちます。
試合観戦でP/PAを見る楽しさ
試合を見ながら「この打者は1打席で平均何球投げさせているのか」を意識すると、打席の裏にある駆け引きが鮮明に見えてきます。
たとえば、P/PAが高い打者は相手投手に球数を多く投げさせ、終盤の攻略に繋がる可能性を高めます。一方でP/PAが低い打者は初球から積極的に狙うスタイルが見えてきます。単に結果だけでなく、その過程を理解できるのが観戦の醍醐味です。
他の指標と組み合わせた分析方法
P/PAは単独で使うよりも、他の指標と合わせることで選手の特徴を立体的に理解できます。以下は代表的な組み合わせ例です。
組み合わせる指標 | 得られる示唆 |
---|---|
BB%(四球率) | P/PAが高くBB%も高い場合は「選球眼に優れる打者」 |
K%(三振率) | P/PAが高くK%も高い場合は「粘るが空振りも多い打者」 |
OBP(出塁率) | P/PAが高くOBPも高ければ「チームに貢献する出塁型バッター」 |
このように複数の指標を掛け合わせると、単なる「粘る」「早打ち」といった枠を超えた分析が可能になります。
セイバーメトリクス初心者への導入にも最適
P/PAは「総投球数 ÷ 打席数」という単純な計算式で求められるため、セイバーメトリクスに不慣れな人でも理解しやすいのが特徴です。
OPSやWARといった複雑な指標に比べ、計算過程が直感的で分かりやすく、野球データの入り口として最適です。

P/PAに関してよくある質問
【まとめ】P/PA
- P/PAとは、バッター(野手)を対象にし「粘り強さ」を計る指標
- P/PAが高いからといって、必ずしも良い打者とは限らない
- P/PAは「全投球数÷打席数」で計算可能
→打数ではないので注意!
P/PAをみることで、その打者に対して投手が平均何級投じているかがわかります。
好打者が高くなるのは当然ですが、じっくりボールを見る打者も数値は高くなります。打率や長打率、OPSと掛け合わせることでその打者のバッティングスタイルが見えてくる重要指標です!