勝率は、投手だけで作り上げられる指標ではありません。打者の結果、走者の結果など1つ1つのプレーの先にある指標になります。そのため、意味ない指標と言われることも多いです。
そこで本記事では、そんな投手の「勝率」について紹介します。
計算方法や過去の選手の成績など勝率に関して網羅的に紹介しているため、是非最後まで記事をご覧ください。
投手の勝率とは
投手の勝率とは、勝敗が付いた数に対してどれだけ勝利をしたからを表した指標です。
仮にその試合の勝敗がその投手に付かなかった場合、計算の対象から外れます。
計算方法
勝率=勝利数÷(勝利数 + 敗戦数)
勝率を求める計算式は上記になります。登板数は計算式に含まれません。
つまり、伝説の24勝0敗の記録を打ち立てた田中将大投手のシーズン勝率は10割です(登板数を含めたら10割にはなりませんが、0敗のため10割となります)
計算例
項目 | 結果 |
---|---|
登板数 | 26登板 |
勝利数 | 15勝 |
敗戦数 | 5敗 |
2022年の沢村賞投手である、山本由伸投手で計算してみましょう。
2022年シーズンの山本由伸投手の勝率は「15÷(15+5)=.705」になります。
登板数を単純に勝利数でわると、.576となり、勝率との数字にかなり乖離が生まれます。
投手における勝率の定義は、登板数に対してどれだけ勝利したかではなく、勝敗が付いた試合に対してどれだけ勝利が多かったかといった計算方法になります。
投手の最高勝率とは
勝率は、正式な記録として毎シーズン記録されており、シーズン終了後には最高勝率のタイトルが授与されます。
しかし、その最高勝率の対象者には条件があります。
条件
最高勝率のタイトル獲得の対象者:13勝以上
仮に、1勝0敗の投手がいたとすると勝率は10割です。そのため、タイトルに公平性が保たれません。そのため、13勝以上という条件が設けられています。
同じような考え方で規定投球回という指標があります。最優秀防御率のタイトルを決定する際に使用しますが、防御率も登板イニング数で大きく数字が変わるため、このような条件が設けられています。
勝率が意味ないと言われる理由3選
外的要因
試合の状況によって勝利の記録は変化します。10失点しても、味方が11点取れば勝利になりますし、0点に抑えても見方が点を取れなければ勝利にはなりません。
つまり、投手の「勝利」という記録は投手自身の能力を単純に示した指標ではありません。
良い投手かどうかを判定するには不完全な記録である「勝利数」が絡んでいるため意味ないと言われることがあります。
敗戦が計算外のパターン
チームが仮に敗戦しても、そのときに登板していなければその投手に負けは付きません。
つまり、そのような試合はそもそも勝率に含まれません。ただ、逆に8回まで無失点で進んで延長戦で勝利した場合なども、その投手に勝利が付きません。
優勝チーム
優勝チームはそれだけ勝利数が多い分、勝率の計算は有利です。
一方で最下位は負け越しのため、勝率の計算では不利になります。
つまり、同じような投球をしていても、所属チームによって勝率は変化するため意味ないと言われてしまいます。
エースの投球(意味ある理由)
一方で私は意味ある指標だと思っています。
野球はチームスポーツです。チームが勝利に繋がれば、ミスをしても問題はありません。
チームを勝利に導くのがエースの投球と言われるように、勝負勘や勝負強さを計る上で重要な指標だと思います。
シーズン勝率ランキング
2020年
【セ・リーグ】
- 菅野智之
- 森下暢仁
- 西勇輝
- 大野雄大★
- 九里亜蓮
- 青柳晃洋
【パ・リーグ】
- 石川柊太
- 涌井秀章
- 美馬学
- 山本由伸
- 千賀滉大★
- 石川歩
- 高橋光成
- 有原航平
- 田嶋大樹
★マークが最優秀防御率のタイトルを獲得した選手になります。
1番イニング数に対して自責点が少ない投手でも、勝率のタイトルとなると全く別ですね。
ただ、2020年はコロナの影響で試合数が少なかったため、勝利数の条件は10勝に下げられています。
2021年
【セ・リーグ】
- 青柳晃洋
- 大瀬良大地
- 柳裕也★
- 九里亜蓮
- 森下暢仁
- 戸郷翔征
- 小笠原慎之介
- 西勇輝
- 大野雄大
【パ・リーグ】
- 山本由伸★
- 宮城大弥
- 小島和哉
- 則本昂大
- 上沢直之
- 松本航
- 髙橋光成
- 伊藤大海
2022年
【セ・リーグ】
- 青柳晃洋★
- 今永昇太
- 戸郷翔征
- 菅野智之
- 小笠原慎之介
- 森下暢仁
- 西勇輝
- 大野雄大
- 小川泰弘
- 柳裕也
【パ・リーグ】
- 山本由伸★
- 千賀滉大
- 高橋光成
- 宮城大弥
- 加藤貴之
- 伊藤大海
- 上沢直之
- 田中将大
- 小島和哉
投手の勝率まとめ
考え方によっては、意味ない指標とも捉えられる勝率。
たしかに、投手単独の能力を評価する上では不完全かもしれません。しかし、チームの勝利を目標にしているプロ野球において勝率は重要な指標の1つと考えています。
いくら防御率がよくても勝率が5割であれば、チームの貯金を作れていません。
ペナントレースでチームが優勝するための投球ができているかを図ることができる指標です