規定投球回数は、プロ野球の投手の記録達成(防御率)のための条件で定められています。そのため、シーズンの終盤になればなるほど、意識する投手が多い数字になります。
しかし、年々野球の文化が変わってきていることもあり、規定投球回数をクリアできる投手は少ない現状です。
そこで本記事では、規定投球回数の達成が難しい理由を解説します。規定投球回の定められ方や直近の達成者についても紹介しているため、是非最後まで記事をご覧ください。
規定投球回数とは
規定投球回数:最優秀防御率のタイトルを獲得する際に必要な投球回のこと
そもそも防御率は投球回数と自責点を計算で利用します。そのため、母数の投球回数が極点に少ないと、防御率が良い成績になることは必然です。
そのため、一定の基準を設けない限りタイトルの公平性が失われます。そこで、規定投球回数を設けることでタイトルに公平性を持たせました。
基本的には、シーズンローテーションを守った投手のみが規定投球回数に到達します。
規定投球回数の計算方法
143になります。これはシーズンの試合数で決まります。
通常、プロ野球は143試合開催されるため、規定投球回数も143です。
規定投球回数達成が難しい理由
投球ペース
先発投手が6人いると仮定した場合、143÷6=23.8…となります。つまり、年間で約24試合の登板です。
24試合で143回の規定投球回を超えるためには1試合あたり、6イニング必要です。
6イニングを毎回投げるためには、試合を作れている前提になるため、毎試合QSのような登板が必要になります。QSとは、6回3失点以内に抑える先発投手の指標です。
このQS率は大エースでも中々100%になりません。つまり、この規定投球回をクリアするのは単純計算でも難しい基準となっております。
戦い方の変化
近年の野球は継投前提です。
- 先発
- 中継ぎ(セットアッパー)
- 抑え(クローザー)
といった役割分担が明確にされています。仮に完封ペースでも相性や試合展開によっては降板させられることが多いのが近代野球です。そのため、昔に比べると規定投球回の達成が難しくなっています。
中5~6日
近代野球では「怪我」への考慮が最大限されます。怪我をしないために、十分な休養をなるべくとるという文化が年々強くなっております。
そのため、中5日以上は絶対。中6日は必要といった声がファンからも多くなりました。
ジャイアンツが中4日ローテーションを組んだ際、シーズン終盤まで持たないといったファンからの非難が非常に多かったですが、事実シーズン終盤のジャイアンツ投手陣はボロボロでした。
規定投球回達成者【過去3年】
過去3年の規定投球回達成者について紹介します。
防御率順で紹介しているため、1番上の選手は最優秀防御率のタイトルを獲得した選手です。
2020年
【セ・リーグ】
- 大野雄大★
- 森下暢仁
- 菅野智之
- 西勇輝
- 九里亜蓮
- 青柳晃洋
【パ・リーグ】
- 千賀滉大★
- 山本由伸
- 有原航平
- 涌井秀章
- 高橋光成
- 美馬学
- 田嶋大樹
- 石川歩
セ・リーグ6名、パリーグ8名の計14名が達成しました。
2021年
【セ・リーグ】
- 柳裕也★
- 青柳晃洋
- 大野雄大
- 森下暢仁
- 大瀬良大地
- 小笠原慎之介
- 西勇輝
- 九里亜蓮
- 戸郷翔征
【パ・リーグ】
- 山本由伸★
- 宮城大弥
- 上沢直之
- 伊藤大海
- 田中将大
- 則本昂大
- 今井達也
- 石川柊太
- 加藤貴之
- 岸孝之
- 田嶋大樹
- 小島和哉
- 髙橋光成
- 松本航
セ・リーグ9名、パリーグ14名の計23名が達成しました。
2022年
【セ・リーグ】
- 青柳晃洋★
- 西勇輝
- 今永昇太
- 大野雄大
- 戸郷翔征
- 小笠原慎之介
- 小川泰弘
- 菅野智之
- 森下暢仁
- 柳裕也
【パ・リーグ】
- 山本由伸★
- 千賀滉大
- 加藤貴之
- 高橋光成
- 伊藤大海
- 小島和哉
- 宮城大弥
- 田中将大
- 上沢直之
セ・リーグ10名、パリーグ9名の計19名が達成しました。
野球の規定投球回数まとめ
規定投球回数:防御率のタイトルを獲得する際の対象選手を決めるための指標
継投文化の確立や中5日以上が主流になってきた現代野球において、規定投球回数の達成難易度はあがっております。基本的に1年間を通してローテーションを守った投手しかクリアすることができません。
近年では、良い投手でも怪我の離脱によって防御率のタイトル対象者にならないような選手も多いです。
規定投球回数を下げるべきの声もありますが、やはり1年間ローテーションを守った選手を対象にできているため、個人的に規定投球回数の計算を変える必要はないと思っております。