ドカベンのルールブックの盲点の1点とは?済々黌対鳴門で適用!

ルールブックの盲点

野球漫画の金字塔『ドカベン』は、ただのスポーツマンガにとどまらず、ルールの隙間を突いた戦略や心理戦が展開される知的興奮に満ちた作品でもあります。

その中でも特に読者の印象に残る名フレーズが「ルールブックの盲点」。この言葉が飛び出す場面には、単なる力勝負とは一線を画す、緻密な読みと計算が潜んでいます。

この記事では、『ドカベン』の中で「ルールブックの盲点」が登場したシーンを紐解きつつ、そのルールが実際の野球でどう扱われているのかも交えて、初心者にも分かりやすく解説していきます。

このページでわかること

  • 「ルールブックの盲点」というセリフが登場する具体的なシーンと状況
  • その場面で使われた野球ルールの詳細と解釈のポイント
  • 現実のプロ野球や高校野球で見られる同様の事例
目次

【ルールブックの盲点】済々黌対鳴門の試合

2012年夏の甲子園の大会、済々黌対鳴門の試合でルールブックの盲点の1点と呼ばれるシーンが起こりました。

7回裏の済々黌高校の攻撃で、1アウトランナー1塁3塁の場面。バッターはショートライナーを打ち、バッターはアウトとなりました。1塁ランナーは、1塁に戻らずにそのまま2塁へ向かっていました。

打球を捕球したショートは1塁に送球し、1塁ランナーは帰塁していなかったため、3アウト目を刻み、鳴門高校の選手はベンチへと戻りました。しかし、スコアボードには済々黌高校の得点が1点入ったと表記されています。

審判からは、「3アウト目(1塁ランナーのアウト)よりも先に、3塁ランナーがホームを踏んでいたため得点となる」と説明されました。実はこのプレイ、審判のいう通り、3塁ランナーは、1塁ランナーが1塁上でアウトになる前にホームインしているのです。

プレイ上だけで見るとショートライナーを取り、1塁ランナーもアウトにしたことで、ダブルプレーとなります。

実はここにルールブックの盲点が隠されています。

文字で分かりづらい方は是非動画をご覧ください!

ルールブックの盲点と呼ばれる理由

野球スタジアム

盲点と呼ばれるのは、このプレイのアウトが、フォースプレイではなく、アピールプレイであることが理由です。

離塁していた1、3塁のランナーをアウトにするには、アピールプレイでないといけません。(以下でアピールプレイについて説明しています)

アピールプレイはタイムプレイであるため、アピールがない限り、得点が認められます。

フォースプレイとは

フォースプレイというのは、バッターが打球を打ち、元々いたランナーに進塁義務が発生し、次の塁に進まなくてはいけない場合に成立するプレイのことをいいます。

例えば、ランナー1塁の場面で、バッターが内野ゴロを打った場合、1塁ランナーは2塁に進まなくてはなりません(バッターランナーが1塁へ向かうため)。捕球した内野は、1塁ランナーが2塁に到達するまでに2塁に送球する(またはセカンドベースを踏む)ことで、1塁ランナーはアウトとなります。

このことをフォースプレイ、フォースアウトと言います。

今回紹介している済々黌対鳴門の試合では、フォースプレイの場面ではありませんでした。

そのため、ランナーには進塁義務が生じていなかったのです。

アピールプレイとは

アピールプレイとは、ルール違反をアピールすることで成立するプレイとなります。

今回紹介している済々黌対鳴門の試合では、1塁ランナーも3塁ランナーも、ショートライナーの時点で元々いた塁に戻らなくてはいけなかったのです(リタッチの義務)。

しかし、1塁ランナー、3塁ランナーともに元にいた塁に戻ることはありませんでした。そのため、リタッチの義務を果たしていなかったランナーたちですが、審判はここで指摘はしない決まりとなっています。

守っている側は、アピールプレイでアウトにしなくてはならないのです。アピールプレイでのアウトは、戻るべき塁に送球するだけでいいとされています。ショートが1塁へ送球し、フォースアウトに見える1塁ランナーのアウトですが、実はこれがアピールプレイでのアウトとなっています。

アピールプレイのアピール権は、次のプレイが開始されるまでとなります。本ケースではイニング終了時なため、ピッチャーや内野手がファールゾーンに入った時点でアピールプレイの権利が消滅してしまいます。

リタッチの義務

リタッチの義務というのは、バッターがライナー、フライを打った際に、ランナーは元の塁に戻らなくてはいけないというルールがあります。リタッチの義務の場合、アウトにするときはアピールプレイです。

戻るべき塁に送球するだけでいいとされているので、見た目はフォースアウトと同様になっています。

そのため、今回紹介している済々黌対鳴門の試合でも、鳴門高校の選手をはじめ、観客からもフォースアウトと誤解されがちだったのです。

鳴門高校が1点を防ぐにはどうすれば良かったのか

上記のことを踏まえ、鳴門高校が7回裏の1点を防ぐには、以下の方法がありました。

  • 3塁ランナーでアウトを取る(今回であれば、ショートが1塁ではなく3塁に投げる)
  • 第3アウトの置き換えをアピールする(リタッチの義務を怠っていることをアピールする)

この2点のどちらかができていれば、7回裏の1点は入りませんでした。

三塁ランナーのリタッチ義務は?

三塁ランナーにはたしかにリタッチの義務が発生します。

しかし、この場合審判はそのルール違反を黙っています。そのため、鳴門高校側がアピールする必要があります。

ドカベンにおけるルールブックの盲点の登場シーン

「ルールブックの盲点」というセリフが飛び出したのは、作中屈指の戦略的バトルとして知られる白新高校戦。この試合では、山田太郎を中心とする明訓高校と、頭脳派・土門率いる白新高校が対峙し、ただのパワー勝負ではない高度な駆け引きが展開されました。土門が放ったこの一言は、まさにその象徴です。

この場面では、ルールの文面には明記されていない「運用の盲点」を巧みに突くことで、思いもよらぬ局面が生まれました。読者の多くは、「そんな手があったのか!」と驚いたことでしょう。

白新高校戦での名場面を振り返る

「ルールブックの盲点」というセリフが登場した場面は、下記のような流れでした。

  • 試合終盤、明訓高校がリードしている状況
  • 白新高校の土門が奇策を指示
  • 牽制球に合わせて打者がスイングを試みる
  • 山田太郎が一瞬反応に迷い、走者が進塁

この一連の流れは、野球のセオリーを逆手に取るプレーであり、通常の発想では出てこない大胆な行動でした。

具体的に使われたルールとその解釈

この作戦は、ルール上はグレーゾーンに属するプレーの隙間を狙ったものです。以下のルールが関係していました。

野球規則ポイント
第6章 ピッチャーの行為牽制球は走者がいればいつでも可能
第7章 バッターの行為牽制中のスイングを禁止する記述はなし
審判の裁量違反でない限り、判断は「合法」

明文化されていないルールの“間”を突いたこのプレーは、通常の感覚では想定外。まさに「ルールブックの盲点」という表現がふさわしいものでした。

山田太郎や岩鬼の反応から見る心理戦

白新高校の策略は、プレーの巧妙さだけでなく、相手の精神的動揺を誘う点にも効果がありました。選手たちの反応からは、プレーのインパクトの大きさが読み取れます。

  • 山田太郎:冷静な判断を誇る彼が反応に遅れた
    ↳想定外の展開に戸惑いを見せた
  • 岩鬼正美:即座に「卑怯な手だ」と憤る
    ↳感情型プレーヤーの心理を突かれた
  • 明訓ベンチ:一瞬空気が凍りつく
    ↳ルール解釈の不確かさが動揺を誘発

心理面に与えた影響も見逃せません。ルール違反ではないけれども、相手に「ズルい」と思わせることができれば、それは立派な戦術の一環です。試合の勝敗を左右する場面で、頭脳を武器にしたこの駆け引きは、読者に深い印象を残しました。

まとめ|ルールを制する者が試合を制す

『ドカベン』に登場する「ルールブックの盲点」というセリフは、単なる印象的な一言ではなく、野球という競技の奥深さを象徴する重要な要素です。白新高校戦の場面では、明文化されていないルールの隙間を突いた巧妙な作戦が描かれ、それによって試合の流れや心理状況までもが大きく揺さぶられました。

このようなプレーは、単に技術やパワーだけでは勝てない野球の“知的スポーツ”としての側面を際立たせるものです。また、実際の野球でも起こりうるルールのグレーゾーンを意識することで、観戦やプレーの視点が一段階深まるでしょう。

読者がこのエピソードをきっかけに、野球のルールやその運用について自ら調べてみたり、他の作品でも同様の戦術を探すようになれば、漫画というエンタメの枠を超えて、新たな学びの機会につながります。

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