結論、奪三振率とは1試合あたり投手が投手がいくつ三振を奪ったかを表す指標です。
1試合=9イニングを指すため、言い換えれば9イニング平均でいくつ三振を奪っているかを計算したものになります。投手には様々なタイプがおり、その投手の特徴を図る1つの指標として使えます。
また、場面によっては打者をどうしても三振に打ち取りたい場合があります。その時はリリーフ投手の中で奪三振率が高い投手を登板させるなど、作戦面でも使える指標です。
奪三振率とは

1試合平均の奪三振数です。仮に先発投手が9イニングを投げ切った場合、いくつの三振を奪うことができるかの指標になります。完投した場合の三振数ではないため、注意してください。
仮に、延長12回まで試合が進んだ場合は、先発投手が9回を投げ切っても完投にはなりません。

計算方法
奪三振率=奪三振数×9÷投球回
上記の計算式になります。また、奪三振率は指標としては存在しますが、タイトルではありません。
計算例(山本由伸投手)
いまでは日本を代表するエースである、オリックスの山本由伸投手の2022年シーズン成績を元に計算していきます。
項目 | 値 |
---|---|
奪三振数 | 205 |
投球回 | 193 |
打者 | 747 |
205×9÷193=9.56
2022年の山本由伸投手の場合、奪三振数は約9.6です。それでは、この数字は凄いのでしょうか。歴代のランキングや目安について紹介していきます。

歴代の奪三振率ランキング
奪三振率は、記録として登録されていないこともあり、正確なランキングは不可能です。
- 試合数が昔と今では違う
- 投球数の文化が昔と今では違う
→ボールや野球文化も年々発展している - シーズンで見るのか、通算で見るのかによって違う
また、上記の理由から、2000年以降の奪三振ランキングをもとにそれぞれ通算で、奪三振率を計算しました。
奪三振率ランキング
投手 | 奪三振 | 投球回 | 奪三振率 |
---|---|---|---|
杉内俊哉 | 2156 | 2091 | 9.28 |
岸孝之 | 1996 | 2307 | 7.79 |
涌井秀章 | 1909 | 2598 | 6.61 |
和田毅 | 1798 | 1973 | 8.20 |
石川雅規 | 1746 | 3037 | 5.17 |
実働期間が2,000年以降であり、2022年シーズンまでの成績を含んだ通算成績です。
杉内投手は1イニングあたり1つ以上は三振を奪っている数値になります。
奪三振率の目安

目安 | 奪三振率 |
---|---|
高い | 8~ |
普通 | 6~7 |
技巧派 | 5.9以下 |
一般的に8以上あれば、欲しい時に三振を奪える投手といえるでしょう。
一方で、6に届かない投手でも成績が良い場合があります。一般的に呼ばれる「技巧派投手」打たせて取るようなスタンスの投手は、奪三振率は高くありません。
まさにヤクルトの石川投手もレジェンドといっても過言ではない成績を残されていますが、奪三振率は決して高くありません。
奪三振率をさらに深堀りしてみよう

同じ奪三振率でも、その裏側にある球種配分や年齢、チーム環境で意味合いは変わります。応用的な見方を取り入れると、数字の背景が立体的にわかります。
球種別にみる奪三振率の違い
結論:空振りや見逃し三振を生みやすい球種が揃うほど、奪三振率は安定しやすくなります。背景として、打者の目線変化(高さ・横変化・速度差)を組み合わせられるかが鍵になります。
球種 | 三振につながりやすい場面 | 長所 | 注意点 |
---|---|---|---|
フォーシーム | 高めゾーン/カウント有利 | 球速とホップ感で空振り・ファウル量産 | 甘く入ると長打になりやすい |
スライダー スイーパー | 右対右・左対左の終盤配球 | 横変化で芯を外しやすい | 抜け球は見切られやすい |
フォーク スプリット | 低めに落として空振り | 決め球として三振取りやすい | 連投で見切られるとワンバン増加 |
カーブ | 初球見せ球/緩急でタイミングずらし | 速度差で目線変化を作れる | ゾーン内でのストライク率が課題になりやすい |
チェンジアップ | 速球トンネルからの失速 | 左右問わず有効、ゴロも取りやすい | 高めに浮くと痛打されやすい |
カッター | ファウル量産→追い込み | 球数を稼いで終盤の決め球へ橋渡し | 単独で三振量産はやや難しい |
実践ポイントとして、配球チャートを見るときは「高め速球×低め落ち球」「同トンネルからの分岐」の組み合わせを探すと、奪三振率が伸びる理由を捉えやすくなります。
球団別・年齢別の傾向分析
結論:奪三振率は個人能力に加え、球場の広さ、守備配置、指導方針、年齢カーブの影響を受けます。背景として、ストライクゾーンの攻め方やカウント哲学がチームで共有されるためです。
年齢帯 | 一般的な傾向 | 見るべきポイント |
---|---|---|
〜23歳 | 球威先行で波が大きい | 四球とのバランス、決め球の精度 |
24〜29歳 | 球威と制球が噛み合いピークを迎えやすい | 配球の幅、球速維持と疲労管理 |
30〜34歳 | 球速微減、配球で補正 | 空振り狙いから見逃し三振の比率へシフト |
35歳〜 | イニング管理が重要 | 対戦打者の入れ替え方、登板間隔の最適化 |
短期間の数値は変動が大きいため、3〜5登板の移動平均で見ると傾向がつかみやすくなります。移籍直後や役割変更の前後で区切ると、環境影響も読み取りやすくなります。
ファンタジーベースボールにおける活用法
結論:リーグ設定(K合計なのかK/9なのか)と投手の役割を合わせて考えると、奪三振の取り方が最適化できます。背景として、先発と救援でイニング総量と変動幅が違うためです。
ルール形式 | 重視すべき指標 | 戦い方の型 |
---|---|---|
K合計(カウント制) | 登板回数・イニング総量・先発枠の回転 | 先発中心に週の投球回を稼ぎ、対戦相手の三振傾向が強い日に先発を集中 |
K/9(レート制) | K/9・BB/9・被打率 | 高K/9の救援やマルチイニング型を起用し、低K/9先発を控えめに |
ポイント制 | Kの配点と失点・四球の減点 | 配点表を基準に、Kと減点の差引でプラス幅が大きい投手を優先 |
まとめると、リーグ設定に合わせてイニング総量を設計しつつ、Kを稼げる役割の投手を組み込むのが近道です。数字のブレはつきものなので、週単位の検証と入れ替えで安定度を高めていきましょう。
まとめ
奪三振率は、「奪三振数×9÷投球回」で計算することができます。
本指標によって、投手のタイプを分析することができる上に、リリーフ投手であれば作戦面に使用することができます。また、奪三振率が高くない投手が悪い投手ではありません。
あくまで、その投手のスタイル、傾向がわかる1つの指標として奪三振率を見ていただければと思います。